作品集
平成28年度静岡県高等学校総合文化祭書道部門
第62回静岡県高等学校書道展
受賞作品
個人の部
静岡県教育長賞
題「臨 関戸本古今集」
静岡県立沼津西高校 2年
鈴木 利菜
今回、静岡県教育長賞という素晴らしい賞を頂くことができ大変嬉しく思います。私は高校入学後、仮名の流麗さや繊細な線に魅力を感じ学び始めました。毎日長時間の練習を重ねた後、関戸本古今集の臨書制作に挑みました。長時間に渡り同じ調子で書くことは大変難しかったですが、技術面はもちろん精神面でも大きく成長することができました。来年度の全高総文祭に向けて、静岡県代表としての自覚を持ちながら全力で練習に励みたいと思います。
静岡県高等学校文化連盟会長賞
題「臨 光明皇后楽毅論」
浜松学芸高校 2年
須藤 久留美
私が臨書した光明皇后楽毅論は、強靱ともいえる力強い起筆と収筆をもっています。それらを表現するために用筆の深度・速度・角度の統合によって変化の加えられた横画と、ねじり込むような深さをもつ縦画との調和を図りました。このことに加え、作品として全体の統一感が感じられるものになることを常に意識しました。
今回受賞させていただいたことを糧とし、より質の高い作品を目指して日々精進していきます。
題「臨 金農隷書冊」
浜松学芸高校 2年
酒井 美侑
金農の隷書は書体の特徴である波磔が退化し、横画は太くして間隔をつめ、ややアンバランスともいえる縦画で重力を支える姿に見どころがあると感じています。この書を表現するために、起筆から送筆、収筆までの深さと筆の弾力の生かし方を考え、時間をかけて制作しました。作品が展示され、会場で自分の作品を改めて客観的な目で見たとき、それまで気にしていなかった新たな課題が見つかりました。
この受賞を励みとし、新しい表現のステージに進めるように努力を重ねていきたいと思います。
静岡県高等学校文化連盟書道専門部会長賞
題「臨 雁塔聖教序」
静岡県立沼津西高校 2年
須田 青葉
この度はこのような栄えある賞を頂き大変嬉しく思います。
今回臨書した「雁塔聖教序」は、中国唐代に書かれたもので、私の大好きな古典の一つです。高貴で艶やかな雰囲気を纏うこの書に魅せられ、一年生の時から学んできました。約約二百字ある文字の一つ一つに意識を集中させ、尚かつ全体感を出すのは至難の業でしたが、最後まで気力を貫通させるよう努力しました。今後も、この結果に満足することなく、さらに上を目指して精進していくつもりです。
題「臨 賀蘭汗造像記」
静岡県立御殿場高校 2年
木藤 海輝
私は、初めてこの大きさの作品を製作しました。半紙では出せない文字の迫力がこの大きさでは、出すことができます。特に造像記は迫力が大事だと思っていますので一字一字丁寧に書きました。わたしが一番強調したかったのは、真ん中の行で、意識して大きく書きました。一枚書くのにとても時間がかかるので、集中力を切らさないように最後まで書ききるのが大変でした。
この作品に造像記のかっこよさを感じてもらえたら書かせていただいたことを誇りにしたいと思います。
題「臨 始平公造像記」
静岡県立吉原高校 2年
吉田 凪沙
受賞したと聞いたとき、とても驚きましたが本当に嬉しかったです。作品に取り組む際は、大きい文字と小さい文字を組み合わせたため、それぞれのバランスや全体のバランスを整えることが大変でした。高文祭会場では、自分と同じ造像記でも構成が違うだけで雰囲気が全く違う他の作品を見て、文字そのものだけではなく構成も作品作りの大きな要素なのだと思いました。様々な書体や構成に刺激を受け、今後は今まで書いたことのない書体にチャレンジしたいと考えています。
特選
題「風月」
静岡県富士見高校 2年
北島 すみれ
私は大きな紙に書くのは初めてで、紙の大きさを見て驚き、圧倒されました。書いてみると、配置を考えるのが難しく、慣れるまで時間がかかりましたが、だんだんと余裕を持って書けるようになりました。甲骨文字の絵のような面白い形に興味を持ち取り組みました。甲骨文字の特徴に線の太細をつけて構成してみました。制作は大変でしたが、楽しくもありました。
題「臨 王鐸」
静岡県立富士高校 2年
白倉 佳那子
明清の独特な連綿の書を書くのは初めてでしたが、慣れてくると書くのが楽しくなりました。誇張と抑揚の使い分けや鋭い線を出すことを意識し、力強い表現を目指しました。受賞の知らせを聞いたときはとても驚きましたが、日々の練習の成果が結果に出て嬉しかったです。墨量の配分による豊潤な運筆や、力強さの中にも軽快感や緊張感を出すことが課題に残ったので、次の作品に生かしたいと思います。
題「臨 張瑞圖」
静岡県立富士高校 2年
望月 豪
今回の作品では、特に力強い運筆や連綿を意識して書きました。振り子のように振幅するリズミカルな運筆を活かした気脈の貫通が、とても難しかったです。受賞の知らせを聞いたとき、嬉しさと驚きで胸がいっぱいになりました。この作品で、全体的に墨をつけることや、もっと筆の表裏を使って書くなどの課題が見つかりました。次の作品では、今回学んだことを意識し、より良い作品を作り上げられるよう精進したいと思います。
題「臨 風信帖」
静岡県立浜北西高校 2年
伊藤 悠介
この度、特選に選ばれたことを大変うれしく思います。
今回、私は「風信帖」の臨書作品に挑戦しました。臨書する中で心がけたことは「風信帖」の雰囲気を作品に出すことです。字形の大小、肥痩、疎密の変化に気を配ることでそれらが表せるよう意識しました。また筆者・空海についても知る機会となり、その時代背景にも注目することができました。「風信帖」は私に、「書道は書くだけではない」と、教えてくれました。今回学んだことを、これから学ぶ古典にも生かしていきたいです。
題「臨 米芾 虹縣詩巻」
静岡県立浜松北高校 2年
杉田 南
私は古典の中で以前から米芾の書に魅了されていました。臨書するには、中国の偉大な作家の中でも最も技量が必要だと考えています。予測できない筆使いの変化と筆致には、品格と力強さ、機知に富んだ潤滑の妙があり心酔しています。この作品では、大字をずっしりと迫力を持たせ小字は躍動的で繊細に美しく表現することを目標にしました。作品には満足しています。受賞ありがとうございました。
団体の部
静岡県高等学校文化連盟会長賞
題「和の心」
県立沼津西高校
この度は、県高文連会長賞という大変栄えある賞を頂き嬉しく思います。私たちの団体作品のテーマは「和の心」。書の起源とされる中国だが、ここ日本にも素晴らしい書の古典と文化が息づいていること、日本の書の魅力を部員みんなが再確認しようとこのテーマに決定した。完成するにあたって何度も部員全員で話し合いをし、意見を出し合った。個々の力が団結をして一つのものを創り上げる責任感や喜び、そして達成感は、部員同士の絆をさらに深めるきっかけとなった。またこの賞を一つの節目として、これからも部員一同互いを高め合い、皆でひたむきに書道に邁進していきたい。
題「生きている時間」
県立浜北西高校
このたびは、高文連会長賞をいただきありがとうございました。
この作品は、人生の「青春」「朱夏」「白秋」「玄冬」の四つのステージから「生きている時間」にスポットを当てて作りました。
構成は刻字を中心に、それぞれのステージに合った言葉を配置しました。
私たちが生きている時間にはさまざまな出来事が起こります。その時間を大切にがんばって生きたいというのが私たちの一致したテーマでした。
そのような意味で作った作品ですので、ことばとともにご覧いただければうれしいです。
題「リオオリンピックの感動」
桐陽高校
今年の団体作品は何にしようか、と夏休み前に考え始めました。ところが夏休み、リオ五輪の日本選手の大活躍!そうだこれを書作品にしよう、とアイディアを出し始めました。最終的には、写真とのコラボ。そして、一言で感動を与えられるコメントや詩を作り、書で表現することにしました。
配置や色等、部員で話し合い、この作品が完成しました。裏打ちから表装まで、先輩方の協力のもと何とかでき上がり、皆で喜び合いました。そして、この作品が受賞できたことは二重の喜びです。
一つの事を皆で協力してやり遂げる喜び。これが団体作品のよさだと思います。今後も印象に残る団体作品を創り上げていきたいと思います。
静岡県高等学校文化連盟書道専門部会長賞
題「感情」
沼津市立沼津高校
今回、私たち市沼書道部は『感情』をテーマにした作品を創りました。一つの漢字と様々な偉人の言葉を組み合わせてそれぞれの感情を表現しました。
書体や配置も工夫し、あえて背景に鮮やかな色彩を取り入れることによって作品自体は墨一色で表現し、それを目立たせる作品にしました。
それぞれが自分の作品にひたむきに取り組み、コツコツと努力した成果が良く表れたと思います。
部員全員の気持ちが沢山の方々に伝わり、今回このような素晴らしい賞をいただけたことを嬉しく思います。ありがとうございました。
題「それぞれの取り組み」
静岡県立浜松北高校
二年間、臨書・創作・即興書など多様な練習をしながら自分達の書を極めようと努力してきました。時に悩むこと、苦労することもありましたが、互いに声を掛け合い、刺激し合ってこの作品を仕上げました。この作品は書体の並び、配色など細部まで拘り、それぞれの魅力を最大限に生かすよう努めました。私達14名の二年間の集大成です。
受賞ありがとうございました。
題「風姿花伝」
城南静岡高校
能楽の大家、世阿弥の著わした「風姿花伝」に挑戦しました。「風姿花伝」は、序文、人生七段階のことば等、教育論、人生論と多岐に亘った内容で構成されています。端的に言えば「時分の花」から「本当の花」までの過程を表したものと言えます。
タテ270cm、ヨコ90cmの大きさのパネルに、序文、第一段から第三段を選択、精一杯トライしました。表現にあたって、形、線、墨色を意識、序文から第三段迄、統一感を図るべく、部員各位が練習を重ね、変化と統一そして調和を図りました。顧問の深沢先生の熱心なご指導のもと、力をひとつに合わせて制作することができました。
題「百人一首」
静岡県立榛原高校
私達は今回、「百人一首」のカルタをモチーフに作品制作に挑みました。仮名に初めて取り組んだ部員もいて、夏休みから猛練習を始めました。縦九cm、横六cmのカルタに、形・線・墨(潤渇)に配慮しながら一枚一枚丁寧に書き上げると共に、全体の統一感を図る工夫を随所に凝らしました。白綸子の生地を宮廷の庭に見立て、百枚を曲水の宴のように配置しました。九人の部員の思いが結実した作品に仕上がりました。