作品集
令和2年度静岡県高等学校総合文化祭書道部門
第66回静岡県高等学校書道展
受賞作品
個人の部
静岡県教育長賞
題「臨 多宝塔碑」
浜松学芸高校 2年
大石 くるみ
私の作品は文字数が多く、1枚を書き上げるのに多くの時間が必要です。そのため、部活動の時間や帰宅後に時間を作り出し、毎日取り組んできました。制作過程では思うに任せずに嫌になることもありました。何とか書き上げたものの、このような賞をいただけるとは思っていなかったのでとても嬉しく思います。この賞を自信にして、これからも書に取り組んでいきたいと思います。
静岡県高等学校文化連盟会長賞
題「臨 西嶽華山廟碑」
浜松市立高校 2年
木村 二胡
今回私は「西嶽華山廟碑」の臨書に挑戦しました。この作品を臨書するにあたって私が意識したことは線の質です。例えば横画で綺麗なかすれが出せるかどうか、波磔の先端まで神経が通っているかなどです。これらを表現するために一文字書くごとに、色々なことを考えながら書き進めていくことがとても楽しかったです。
さらに文字だけではなく紙や罫線の色も工夫しました。どの色が一番作品を引き立たせてくれるかとても悩みましたが、最終的には良い組み合わせで完成させることができました。この賞を励みに、更に良い作品作りに努力していきたいと思います。
題「塞翁馬」
県立浜名高校 2年
鈴木 菜月
この度は、このような素晴らしい賞をいただくことができてとても嬉しいです。
私は一年間、開通褒斜道刻石を臨書してきました。この古典を臨書するために初めて長鋒を使いました。慣れるまで時間はかかりましたが、太い線、細い線の書き方や、墨量の変化をつけた作品作りを学びました。そして今回、開通褒斜道刻石の趣を活かして創作をしました。最初は全体のバランスがとれず、どこで墨継ぎをしたらいいのか、文字と文字をどのように組み合わせたらいいのかなど課題が多くあり、苦労しました。毎回変化をつけながら、何枚も書くことで結果的に満足のいく作品を作り上げることができてよかったです。
静岡県高等学校文化連盟書道専門部会長賞
題「臨 楷書氾勝之書」
浜松学芸高校 2年
村松 怜
この作品は私にとって挑戦でした。3*8サイズに構築性の高い楷書を書くのはかなりの時間がかかります。始めた当初は横画や縦画の角度を統一することができず、バラバラな印象でした。その課題と線の質感をどのようにするか、試行を繰り返した中で仕上げたものです。改めて作品を見ると成長したと実感できると同時に改善点も見つけました。これからの制作に生かしていきたいと思います。
題「和歌三首」
県立駿河総合高校 2年
菊本 七海
この度、令和2年度高等学校文化連盟書道専門部会長賞をいただき、思ってもみなかった特別賞受賞に驚きと喜びで一杯です。
高校1年の秋、書道の授業で初めて学んだ仮名の学習から、臨書を重ねた結果の創作の仮名作品でした。しかも、半紙から半折、更に大きな作品への挑戦になりました。基礎的な知識から本格的な仮名の勉強は、今まで考えたことのない未知の世界でもありました。全体の流れを意識して書くこと。そして変体仮名に苦労しながら、紙面の余白の美しさが少し理解できるようになったと思います。
今回の賞を励みに、諸先生から受けたご恩に応えられるよう、一層書道に専心したいと考えます。ありがとうございました。
特選
題「臨 呉昌碩臨石鼓文」
県立沼津西高校 2年
杉本 菜摘
この度はこのような賞をいただきありがとうございます。 私が臨書した呉昌碩臨石鼓文四屏は、篆書や篆刻を愛好した書家・呉昌碩による石鼓文の臨書です。臨書するにあたり意識したことは構築的な篆書の書きぶりの中に筆意筆勢を出すことです。呉昌碩特有の伸びやかで力強い筆づかいを表現するために、リズムに乗って書くことを大切にしました。文字数の多い作品をまとめ上げることは難しく何度も壁にぶつかりましたが、満足のいく作品を仕上げることができました。
題「臨 李嶠詩雑詠」
県立浜名高校 2年
寺田 奈央
この古典は、直線的で強弱があり、楷書、行書、草書体がすべて入っています。この特徴がはっきりと表現できるように細かい部分まで意識して臨書しました。また、穂先を使って丁寧に書くことや行の中心を揃えて書くことを心がけました。その中で、穂先を使って書くこと、書体のバランスを考えて書くことが難しかったです。しかし、強弱や文字の特徴が多い古典の為、書き込んでいくうちにとても楽しく最後まで書き上げることができました。
題「臨 傅山行書五言古詩巻」
県立富士高校 2年
小長谷 菜穂
傅山が篆隷楷行草すべてに精通していたことによる書風の幅の広さや、連綿を躍動させ感情の赴くままに筆を揮うような線を習得し、表現するため、線に抑揚を持たせることや、滑らかな運筆を心がけました。また、二尺×八尺という紙面で、強弱や大小、潤滑などのバランスを考え、作品としての統一感が出るように意識しました。これからは、体全体を使って書くことをより意識し、躍動感ある作品を制作できるよう努めます。
題「臨 杜家立成雑書要略」
浜松市立高校 2年
平松 菜月
光明皇后は力強い書風が特徴です。しかし、臨書を重ねていくうちに細い線には女性らしい繊細さも含まれていることに気がつきました。筆圧を入れながらも穂先をうまく使って書くことは困難でしたが、たくさん練習をして書き上げることができました。今回悔しくも全国大会に出場することはできませんでしたが大紙に臨書する中で身についた集中力を今後の作品制作に生かしていきたいです。
題「臨 石山切伊勢集」
県立沼津西高校 2年
金剌 萌菜
この度はこのような賞をいただき光栄に思います。
石山切伊勢集は藤原公任によって書かれたとされる古筆で、西本願寺三十六人集の中で料紙が美しいことで有名です。私はその優美な書風とふくよかで弾力があり変化に富んでいる線質に魅力を感じ臨書するようになりました。制作する際、少しでも気を緩めると雰囲気が変わってしまうため最後まで集中して一気に書き上げることを意識しました。まだまだ満足していないのでこれからもこの古筆を追求していきたいです。
題「臨 泰山刻石」
浜松日体高校 2年
田中 如意
篆書を本格的に書いたのは今回が初めてでした。左右対称という篆書の特徴がよく見られるこの作品では、縦の線を垂直に、横の線を水平に書くという基本を強く意識して練習しました。文字数が多いうえに難解な字もあったため、よい鍛錬になったと思います。こうしてひとつの作品として仕上げることができ、また、このような賞をいただくことができ、大変光栄です。これから日々精進してまいります。
題「臨 何紹基・行書山谷題跋語四屏」
県立浜松南高校 2年
池辺 姫奈
今回、特選を受賞することができ、大変嬉しく思っています。初めは、行草体に隷書の書法が入り込む特徴的な何紹基の書風に苦戦しました。このような大きな紙に書くことも初めてで、全体のバランスがなかなか思うようにならず、完成させることができるかどうか不安でした。しかし、長期間に渡って書き込み、作品一枚一枚が少しずつ良くなっていく過程は、嬉しく、楽しい時間でした。今までで一番の達成感を味わうことができ、自分の成長にも繋がったと思います。この作品は、何紹基の様々な表情を見せる飄々とした書風に魅了されて書き始めたので、その雰囲気が少しでも伝わったら嬉しく思います。今後も指導してくださった先生や友人、家族への感謝を忘れず、日々書を学び努力をし続けていこうと思います。