作品集
令和3年度静岡県高等学校総合文化祭書道部門
第67回静岡県高等学校書道展
受賞作品
個人の部
静岡県教育委員会教育長賞
静岡県高等学校文化連盟会長賞
題「臨 楊峴臨古四種巻」
浜松開誠館高校 2年
深澤 悠
この度、静岡県高等学校文化連盟会長賞をいただき、大変嬉しく感じています。私は「楊峴臨古四種巻」の全文を臨書することは今回が初めてであり、多くの時間をかけて作品を完成させました。字形や大きさが変わってしまうことがないように、統一感のある作品を目指して練習しました。また、隷書の特徴を意識し、起筆の入り方や送筆部分の筆の運び方を原本と見比べながら書くようにしました。そのため、入賞できたことがとても嬉しいです。本当にありがとうございました。
題「臨 孫秋生造像記」
浜松市立高校 2年
伊藤 友希
この度、このような名誉ある賞をいただくことができとても嬉しく思います。造像記は古代中国で約250年かけて造られたと言われています。その中でも今回臨書した孫秋生造像記は約200人もの人の想いが込められた作品です。構成は3部に分かれており、上部は額題、真ん中は願文、下部は造営に携わった人々の名前が綴られています。私は作品を作り上げる中で一人ひとりの想いを筆に乗せて書きました。その意思を現代そして未来に受け継ぐことができれば幸いです。
題「臨 中務集」
浜松学芸高校 2年
田代 愛実
今回の制作では、中務集の魅力である紙面に切り込んでいくような起筆、力強く伸びやかな線質を表現するため 納得のいくまで何枚も書き込みました。改めて自分の作品を冷静に見てみると改善点が浮き彫りになっていました。今後は線の深さ、カタマリごとの流れ、筆勢について特に意識したいと考えています。
指導して下さる先生、協力してくれる家族に感謝し、前進していきます。
静岡県高等学校文化連盟書道専門部会長賞
題「臨 光明皇后臨樂毅論」
県立沼津西高校 2年
山本 佳奈
この古典は王羲之が書いた樂毅論を光明皇后が臨書したものです。しかし単なる臨書ではなく、光明皇后の技術と精神性の高さが感じられる素晴らしい書で私は大好きです。横画のキレのある細線と縦画の力強さを表現するために、筆の弾力を活かしゆっくりと運筆することを意識しました。また、統一感を保ち最後まで一定のリズムで書けるよう集中力を保つことに苦労しました。今回全高総文祭東京大会に県代表として選出され大変光栄です。今後も樂毅論特有の表現方法を研究し、より完成度の高い作品を目指していきたいです。
特選
題「臨 爨宝子碑」
浜松開誠館高校 2年
松尾 美空
この度は特選という賞をいただき、ありがとうございます。この作品は、私にとって思い出深い作品なので、とても嬉しく思います。昨年も3×8尺サイズで書かせてもらいましたが、入賞することができず悔しい思いをすることになりました。そのため、今年は休日に朝から晩まで練習をし、1画1画の線質や起筆、収筆の力強さにこだわって練習を重ねました。今回は、惜しくも全国に行くことはできませんでしたが、諦めずに努力を重ねていきたいです。
題「臨 史晨後碑」
県立富士高校 2年
佐野 沙那
この度は、このような賞をいただくことができ、大変光栄に思います。私は1年間で身につけた隷書の筆法を生かした作品を制作したいと思い、「史晨後記」を選びました。2尺×8尺という紙面に多字数を書いたので、黒と白のバランスを考えて、全体的に統一感が出るようにしました。また、文字に丸みをもたせ、あたたかな波磔になるように心掛け、柔らかな雰囲気のある作品になるように努力しました。これからも様々な隷書作品に挑戦していきたいです。
題「臨 賀蘭汗造像記」
県立沼津西高校 2年
音渕 胡々
「賀蘭汗造像記」は北魏時代の楷書で、龍門二十品に含まれ、線の力強さとしなやかさが特徴的な私の大好きな古典です。その良さを表現するために、起筆をしっかりと打ち込むと同時にじっくりと運筆して点画が紙面にがっちりと食い込むように書きました。最初はなかなか自分のイメージ通りに書くことができず苦しみましたが、先生の御助言や友人たちの励ましを糧に諦めずに数多く書き込み少しずつ理想の形に近づけられました。今後更に他の造像記にも取り組み、表現を極めていこうと思います。
題「臨 閒居賦」
浜松日体高校 2年
松井 帆奈美
私が臨書した閒居賦は美しく流れるような書体であるため繊細かつ全体のバランスを意識しながら書くことを心がけて取り組みました。
また、2尺8尺という大きな紙に書くことは初めての経験だったので、一枚一枚書くのは時間がかかりました。その中で余白や行間を普段以上に考えながら最後まで丁寧に書くということは自分の成長に繋がったと思います。
今回、このような賞をいただくことができ、大変嬉しく思います。これからも日々精進していきたいと思います。
題「蛍雪(創作)」
県立浜名高校 2年
高瀨 柚乃
今回、石門頌の用筆法などを活かして創作をしました。三尺×八尺という大きな紙面に1年間練習してきた隷書、そして磨崖碑の風合いを使って創作をすることは、私にとって大きな挑戦でした。実際に岩の上に書いてあるように見せるために、凹凸感を出す工夫は難しいものがありました。字によって渇筆を出したり、字間に余白を加えたりすることで表現したつもりです。また、各行にも配置自体に動きをつけ、磨崖碑ならではの面白さが伝わる作品に書きあげられたと思います。
題「奥の細道」
静岡県立金谷高校 2年
山崎 凛花
題材を「奥の細道」に決めました。長い日記文を、2×8の額に、どのように構成したらよいか考えました。6枚の懐紙に、俳句、二句を散らし書きにしてポイントを作ることにしました。
誰もが読め、親しみ易い作品にしたかったので、変体仮名を使わず活字のままの、漢字仮名交じりの書体にしました。
作品制作で意識した点は3つあります。
1つ目は、行頭を揃えることでした。6枚を並べた時、波打つことが多くありました。
2つ目は、潤渇の変化をつけることです。渇筆の部分は技術必要で、緊張しました。
3つ目は、行に流れを出すことです。文字に大小の変化や、点画に太細の変化を同時に出さなければなりませんでした。
幾つかの点に心掛けながら書きましたが、作品制作のコツを学ぶ機会となり、次の作品に励んでいこうと思います。
題「臨 王鐸」
県立富士高校 2年
宮川 晴海
この度は、このような素晴らしい賞をいただくことができ、とてもうれしく思います。今回私は、王鐸の流麗で力強い連綿の書を、2尺×8尺の紙に挑戦しました。王鐸の長条幅特有の美しい章法を表現することが難しかったです。全体の統一感を出すため、文字の大小や運筆、墨量の変化を意識して臨書しました。今回学んだことを生かし、課題である空間の取り方を意識しながら、作品の完成度を向上させていきたいです。
団体の部
題「春」
浜松市立高校
今回はこのような素晴らしい賞をいただき、大変光栄に思います。私たちは「春」をテーマに八人で作品を仕上げました。春の時間の流れが伝わるように、ことばを選ぶところから作品の配置まで細かく意識しました。特に力を入れたのは梅の花と背景です。この二つを作る作業では、一から何かを作ることの大変さを学ぶことができたと思います。この賞を励みに、これからも良い作品が作れるように努力していきたいです。
題「東京2020」
県立浜松北高校
この度はこのような賞をいただきましてありがとうございました。
今年、夏休みの部活動が制限されている中、東京オリンピックが開催されました。楽しみにしていた書道部の合宿の中止が決まり、落ち込んでいた私たちでしたが、アスリートたちが全力で競技に挑む姿に大変励まされました。そして、私たちも書道の力で見ている人の心を動かしたいと思い、「オリンピック」をテーマに作品を制作することにしました。作品全体をオリンピックのエンブレムに見立て、色や配置にもこだわって完成させました。私たちの作品が、何かに挑戦しようとしている人たちの背中を押すことに繋がれば嬉しいです。
題「コロナ終息を願って…」
県立沼津西高校
この作品は世の中の平和や安息への願いを込めて制作しました。部員各人が平和に関する語句を選び、自分の得意な書きぶりで創作しています。コロナ禍によって思うように活動や作品制作ができない中でも、地域の方々からは温かいエールをいただき、前向きに活動に取り組むことができました。私たちを支えてくださった多くの方々に感謝の気持ちと一刻も早いコロナ終息への願いを込め、この作品で多くの方に笑顔を届けることができたら嬉しいです。