作品集
令和5年度静岡県高等学校総合文化祭書道部門
第69回静岡県高等学校書道展
受賞作品
個人の部
静岡県教育委員会教育長賞
題「臨 楊峴臨古四種巻」
浜松学芸高校 2年
川坂 蓮菜
この度はこのような名誉ある賞を頂き、大変嬉しく、感謝の思いで一杯です。そしてここまで支えてくださった大切な方々に心より感謝しています。今回私が臨書した古典は、抑揚のある繊細な線と時間をそこに封じ込めたような雰囲気が魅力的な隷書です。書けば書くほど好きになり、感じたことを逃さず表現することに力を入れ、また、観てくださる方に感動を届けられるように想いを込めて書き上げました。さらなる高みを目指して努力していきます。
静岡県高等学校文化連盟会長賞
題「臨 楊峴仙傳拾遺語四屛」
浜松市立高校 2年
小粥 結叶
この度はこのような素晴らしい賞を頂くことができ、感謝の思いで一杯です。
私は初めて楊峴の作品を見た時、楊峴の字の世界観に惹き込まれ、驚きと共に大きな魅力を感じました。今回臨書した作品の大きな特徴は、波打つような、太さなど変化に富んだ独特な字によって表現される「渋み」であると思います。この「渋み」を表現するために、太さの変化によって変わる筆への力の入れ方、かすれの仕方などを工夫し、字の抑揚を付けることを意識しました。
題「臨 孫秋生造像記」
県立富士高校 2年
渡邉 ののは
この度はこのような素晴らしい賞を頂くことができ大変嬉しく思います。ありがとうございます。
今回私が臨書した作品は、入部して初めて挑戦した作品の孫秋生造像記です。一年かけて学んできた、鋭い起筆、筆の弾力を活かした重厚感のある送筆を表現することができました。また、文字数の多い構成で、全体のバランスを考えながら統一感を意識し、迫力のある作品になるよう努力しました。私がここまで頑張れたのは、部活の仲間、先生、家族のおかげです。これからも感謝の気持ちを忘れずに精進していきます。
題「臨 賢愚経」
浜松学芸高校 2年
鈴木 虹心
この度はこのような素晴らしい賞を頂くことができ、大変嬉しく思います。作品全体の一体感を高めるために文字の密度を高めて書くのはとても難しくたくさん悩みましたが、筆の弾力を使いながら重量感と切れ味を力いっぱい表現しました。作品を仕上げるまで不安とプレッシャーの連続でしたが、先生方や友達、家族の支えのおかげで書き上げることができました。これからもたくさんの努力を積み、より完成度の高い作品を目指していきたいと思います。
静岡県高等学校文化連盟書道専門部会長賞
題「臨 石臺孝經」
浜松日体高校 2年
笠原 日菜
この度は、このような素晴らしい賞をいただくことができ、大変嬉しく思います。
この作品に費やした多くの時間は自分の書道人生にとって、大きな成長ができた、かけがえのないものとなりました。力強い逆筆とキレの良い波磔が共存する、石臺孝經の魅力をどこまで引き出せるかを考え、練習を重ねました。しかし、字間や中心の整った作品を作り上げることには最後まで苦戦し、今もなお反省点は多くあります。それらを忘れず、今回の賞を励みにこれからも自分の書を追求していきたいと思います。
題「臨 薦季直表」
県立沼津西高校 2年
杉山 ひなの
この度はこのような素晴らしい賞を頂き大変嬉しく思います。
今回臨書した薦季直表は、肉付きが良く扁平で隷意を含んでいることが特徴です。この特徴を生かすために、文字の四方に空間をとり、行と列の両方を通すことで重厚でありながもスッキリと見せることを意識しました。また、墨の潤渇や点画の肥痩に大胆な差をつけることで、統一感がありながらも変化があり、見応えのある作品を目指しました。自分を大きく成長させてくれた古典なので、これからも追究し続けます。
特選
題「臨 王鐸行書五律五首巻」
県立富士高校 2年
市川 さと
この度は特選を受賞することができ、大変嬉しく思います。ありがとうございます。
今回の作品制作では、王鐸のメリハリの効いた力強い書風を表現できるように努力しました。また、渇筆と潤筆のバランスに気をつけ、全体の統一感を意識しました。
二尺×八尺という大きな紙に臨書をするのは初めてでしたが、たっぷり墨をつけて迫力のある作品となるように体全体を使って力強く書き、気持ちを切らさずに書きおさめることができました。
今回の作品を臨書して学んだことを自分の武器にし、今後の作品制作に活かしていきたいです。
題「臨 金農」
浜松学院高校 2年
一木 翔哉
私は昨年度の受賞作品を鑑賞し、「金農の作品に取り組みたい」と思いました。金農の隷書と楷書が調和した独特な表現を学ぶため、隷書を中心に基礎から勉強をして作品制作に挑みました。実際に書いてみると字形が独特で難しく、また、文字一字一字の高さが違い紙面にバランス良く配字することも上手くいきませんでした。自分の書いた作品を見直しながら文字の調整を重ね、最後は納得いく作品に仕上げることができました。
題「臨 伊都内親王願文」
市立沼津高校 2年
野知 悠那
この度はこのような素晴らしい賞を頂き大変嬉しく思います。今回臨書した伊都内親王願文は、豊かな運筆のリズム感と大胆な崩し方、自由奔放でありながらも格調の高い線が特徴の、橘逸勢が書いた書です。私はこの伊都内親王願文の、縦に綺麗に並んだ姿が好きなので、五行という構成に挑戦しました。橘逸勢の特徴を掴み、作品全体に立体感を出すために、文字の大小や強弱をつけ、線の潤渇を意識して書きました。今回得たことを次の作品に生かせるようこれからも努力していきたいです。
題「臨 木簡」
県立浜名高校 2年
新村 優月
私は木簡の多彩な線質を表現するために地道に練習をしてきました。特に「下」という字の縦画は苦労した表現の一つです。どうしたら肥痩の変化が生まれるのか、渇筆が出るのかなど最後までこだわり抜きました。自分の理想の線質がはじめて書けたときは非常に嬉しかったです。
私がこのような光栄な賞をいただくことができたのは指導してくださった先生方、励ましてくれたり準備を手伝ってくれたりした仲間、そして応援してくれている家族のおかげです。自分が恵まれている環境にいることを自覚し、これからも精進していきたいと思います。本当にありがとうございました。
題「臨 雁塔聖教序」
浜松市立高校 2年
石倉 梨央
高潔で凛とした雰囲気、また強靭ではあるものの細身で粘りのある線に惹かれ、雁塔聖教序を選びました。
今回私がこの作品を臨書する上で重点を置いたことは、古典作品をただ書き写すのではなく褚遂良の意思を体感し私自身に反映させ、それを書で表現するということです。褚遂良の周囲に囚われない意思の強さを学び、そこからこの古典作品に人間性豊かな肉筆の躍動感と細密な心遣いを感じました。芸術的な書を創造することに成功した晩年の褚遂良の意思を体感し、抱いた強い信念への憧れを書で表すという楽しさに触れ、自由自在な美しさを追求しました。
この古典作品が多くの人に愛され続けますように。
団体の部
静岡県高等学校文化連盟書道専門部会長賞
題「日本神話」
浜松市立高校
私たちがテーマにしたのは「日本神話」です。日本神話の「天地の始まり」「天照大御神」「八岐大蛇」の三つの場面を抜き出し、作品としました。
中でも「天地の始まり」には、神様により日本が始まったという記述があります。その始まりと文化の始まりの神秘さや壮大さを書で表現しました。
また、そのような始まりの過去があるからこそ今があると私たちは思います。
過去の素晴らしさを知るだけでなく、自分たち自身が文化を紡いでいく。
始まりの素晴らしさを未来の人々も忘れないように、形を変えながら遺していきたいです。
題「書の歩み」
県立沼津西高校
この度は、このような素晴らしい賞をいただき大変光栄に思います。
この作品は「書の歩み」というテーマのもと、中国と日本の代表古典を時代の流れと織り交ぜて表現しました。完成度にこだわり、臨書は原典の良さを引き出せる紙面構成を模索し、甲骨文や金印は立体で制作するなど細部まで手を抜かず仕上げました。部員一人一人が古典と真剣に向き合い、より良い作品を作り上げることが出来たと思います。これからも部員一同精進して参ります。
題「希望の星」
県立富士高校
この度はこのような素晴らしい賞を頂き、とても嬉しく思います。ありがとうございます。
この作品は、コロナウイルスの制限緩和によって今までの生活が戻りつつあることへの「希望」をテーマに、1年生全員で制作しました。希望や明るい未来を意味する漢字を全員で書き、希望の象徴である星形を中央に2つ配置しました。周りの作品は希望にまつわる言葉や詩を、書体やバランスを全員で何度も試行錯誤して心を込めて書いたものなので、多くの方に希望が届けば幸いです。
今回、賞を頂けたことを励みに1年生全員で精進していきたいと思います。